プリンターのサブスク、購入とどこが違う?
2025.10.23

プリンターのサブスクは、「インク込み」「台数込み」など仕組みがまちまち。どれが自社に合うのか、迷いがちです。この記事では主要プランの違いを公平に整理し、向き不向きをスッキリ解説。月あたりの枚数・カラー比率・契約期間・サポートまで、判断材料を一つずつ確認できます。なお当社ウルトラプリントには“刷り放題”という選択肢もありますが、まずは条件別の比較軸から丁寧に見ていきましょう。
最優先は
結論から言うと、最優先は「毎月どれだけ・どの比率で刷るか」です。ここが固まれば、プランは自然と絞れます。大きくは
①インク/トナー込みの定額印刷型
②本体を借りて枚数は従量のレンタル(従量課金)型
③機器・保守・消耗品をまとめる包括保守(MPSに近い)型の3系統。
判断軸は次の4点だけでOK。
- 月間枚数(少量〜中量〜大量)
- カラー比率(モノクロ中心か、カラー多めか)
- 期間と拠点数(短期/単拠点か、長期/多拠点か)
- 保守の厚み(駆けつけ・代替機・遠隔サポート)
少量〜中量でカラーが一定、コスト予測を安定させたいなら定額印刷型が合理的。月ごとの増減が大きい、あるいは一時的なピークがあるならレンタル(従量)型が柔軟です。多拠点で機種や補充を一括管理したいなら包括保守型が運用しやすい。
一方で、業務上「毎月そこそこ〜かなり刷る」「枚数の上下が読みにくい」企業は、“刷り放題”のようなページ上限を気にしない設計がハマるケースがあります。固定費で読めること、超過の心配がないことが運用ストレスを下げます。ただし万能ではありません。極小ロットや印刷ゼロの月が多いなら、従量課金の方が合うことも。
本記事では、この後各系統の向き不向きを具体的に比較し、最後にケース別の最適解を整理します。
まずは“うちの刷り方”を決めてから選ぶ
いちばんの近道は、先に毎月の枚数とカラーの比率を決めてしまうこと。
ここが見えれば、候補はぐっと絞れます。
- 定額印刷型は、毎月の枚数が大きくブレない会社に向いています。コストが読みやすく、社内の承認もスムーズ。
- レンタル(従量)型は、繁忙期だけドンと刷るなど波がある会社にフィット。使った分だけの支払いで無駄が出にくい。
- 包括保守(MPSに近い)型は、多拠点や複数機種をまとめて運用したいときに便利。窓口が一本化できて現場の負担が軽くなります。
そして、業務上「毎月そこそこ〜かなり刷る」「上限を気にしたくない」という会社には、ページ上限を意識しない“刷り放題”設計がハマることもあります。固定費で読みやすく、超過の心配がないので運用のストレスが減ります(※極小ロットやゼロの月が多い場合は従量の方が合うことも)。
以降は、タイプ別の向き・不向きをもう少し丁寧に見ていきます。なお当社ウルトラプリントにも“刷り放題”の選択肢はありますが、まずは中立の比較から進めましょう。
タイプ別:こういう会社に合います
定額印刷型が合うケース
毎月の印刷がだいたい一定なら定額がラク。インク/トナー代込みで月額が読みやすく、見積や稟議も通りやすいです。
たとえば、月2,000〜5,000枚で季節差が小さい総務・経理の定例印刷。費用のブレを抑えたい会社に相性◎。
レンタル(従量)型が合うケース
印刷量の上下が読みにくいなら従量が安心。使わない月の無駄を抑えつつ、必要なときだけ増やせます。
短期キャンペーンや新拠点の試運用など、一時的に跳ねる需要との相性がいいです。常に大量印刷なら、後述の“刷り放題”の方が精神的にも運用的にも楽。
包括保守(MPSに近い)が合うケース
拠点や部署が多く管理が煩雑なら、機器・保守・消耗品をまとめる設計が有効。遠隔サポートや代替機対応で、現場の止まり時間を最小化。
全国に営業所がある企業や、店舗バックヤードが多い小売などは窓口一本化のメリットが大きいです。印刷が多い部署だけ**“刷り放題”を組み合わせる**と、さらに運用が軽くなります。
コストは「1枚単価」だけで判断しない
1) 「1枚◯円」の見え方に注意
見積で1枚単価が安く見えても、実際は
- 最低利用料や基本料
- カウンターの課金単位(例:100枚刻みの切り上げ)
- カラー判定の基準(薄い色でもカラー扱い)
で差が出ます。紙・トナーの実使用条件を確認し、過去3か月の枚数で試算するとギャップが減ります。
2) 固定費のブレをどう抑えるか
予算取りをラクにしたいなら、月額のブレ幅を先に決めましょう。
- 定額印刷型:ブレが小さく、管理部門に説明しやすい
- 従量型:低稼働月の無駄は少ない反面、繁忙期は読みにくい
- “刷り放題”:超過の心配がほぼなく、心理的コストが低い
どれを選んでも、社内の承認フローに合っているかがポイント。経理・現場の双方が運用しやすい形を選ぶと、後々の手戻りが減ります。
3) 上限・超過リスクの扱い方
「思ったより刷った」月の超過単価は要チェック。
- 定額印刷型:上限超過の単価が高めに設定されがち
- 従量型:常時多いと累積コストがかさむ
- “刷り放題”:上限管理が不要で、現場が調整に追われにくい
とくに部署が多い企業では、誰が上限を見張るかが曖昧になりやすいです。上限管理の業務負担まで含めて考えると、総合的なコスト感は変わります。
導入〜運用のコツ:悩みを減らすチェックリスト
1) 事前に決めること(要件定義)
- 月間枚数(通常/繁忙期)とカラー比率
- 必要サイズ(A4/A3)、両面・スキャンなど必須機能
- 保守の範囲(駆けつけ/代替機/遠隔)と対応時間帯
- 契約期間・拠点数・台数計画(増減の可能性)
2) 見積比較の見る順番
- 基本料+最低利用料 → 超過単価 → カラー判定の基準
- カウンターの課金単位(1枚刻み/100枚切り上げ 等)
- トナー・部材・配送費の含まれ方(別請求の有無)
3) 社内ルールを最初に作る
- 消耗品の発注窓口を一本化(現場→総務→ベンダー)
- 上限管理の担当(誰が、いつ、どこを見るか)
- 障害時の一次対応フロー(再起動→遠隔→駆けつけ)
4) 日々の運用で効く小ワザ
- 月初にカウンターを記録(前月比較が一瞬でできる)
- スキャン運用を整えて印刷を減らす(共有フォルダ/クラウド)
- カラー設定は部署ごと既定値を決めておく(誤カラー防止)
5) 切り替え判断の基準
- 2〜3か月連続で上限超過が続く → プラン見直し
- 拠点追加で管理が煩雑 → 包括保守や運用一本化を検討
- 「上限管理そのものが負担」→ “刷り放題”のように上限を気にしない設計が候補
よくある失敗と回避策
失敗①:1枚単価だけで決めてしまう
見積で安く見えても、最低利用料/超過単価/カラー判定で差が出ます。
回避策:過去3か月の実績(枚数・カラー比率)で**“見込み請求額”を再計算**。単価より“月の総額ブレ幅”を比較。
失敗②:上限の見張り役が不在
「気づいたら超過」が毎月発生し、現場が萎縮。
回避策:担当・チェック日・見る画面を決める。上限管理が重いなら、**上限を気にしない設計(“刷り放題”など)**も候補に。
失敗③:保守の範囲を曖昧にしたまま契約
「配送費は別」「代替機は有償」などで揉めがち。
回避策:駆けつけ/遠隔/代替機/部材・送料の線引きを契約前に明文化。SLA(対応時間・復旧目標)も確認。
失敗④:部署ごとの使い方がバラバラ
デフォルトが“カラー”のPCが混在し、無駄カラーが増える。
回避策:部署別の既定値(モノクロ/両面)を統一。月初にカウンタ記録、月末に差分を見る運用を定着。
失敗⑤:拠点追加に運用が追いつかない
消耗品の発注ルールが散らばり、在庫切れ→現場停止。
回避策:窓口一本化と在庫のしきい値を設定。多拠点なら“刷り放題”で負荷分散。
事例でイメージ:上限管理の“手間”まで含めて考える
事例A:総務部(安定運用が最優先)
- 状況:月3,000枚前後、カラー20%、季節差は小さめ。
- 以前:従量型。月ごとに請求が揺れて稟議が毎回重い。
- 見直し:定額印刷型へ。
- 結果:請求のブレ幅がほぼゼロに。発注・承認の手間も圧縮。
→ 「安定している現場」は定額で読みやすさを優先が◎。
事例B:販促チーム(繁閑差が激しい)
- 状況:平時500枚、キャンペーン月は1〜1.5万枚。上限超過で毎回調整。
- 以前:定額+超過課金。上限監視が現場のストレスに。
- 見直し:ピークの中心機だけ**“刷り放題”設計**へ(他は従量)。
- 結果:超過対応の工数ゼロ、心理的コストが大幅減。総額も横ばい。
→ 「ピーク対応が重要」なら、上限を気にしない設計を中核に据えると運用が軽い。
事例C:多拠点の小売チェーン
- 状況:全国30拠点。消耗品が拠点ごとにバラバラで在庫切れ多発。
- 見直し:“刷り放題”。窓口一本化&代替機ルールを明文化。
- 結果:停止時間が目に見えて減少。本部側の管理ダッシュボードで見える化。
→ 管理負荷>単価差の現場は、運用設計でコストを取りにいくのが吉。
最適解は「枚数×カラー×運用のしやすさ」で決まる
結局のところ、選ぶべきは毎月の刷り方(枚数・カラー比率)と運用負荷がいちばん軽くなるプランです。
安定運用なら定額、波があるなら従量、多拠点なら包括保守。
そして「上限を見張る手間」まで含めると、**上限を気にしない設計(“刷り放題”)**がフィットする現場も少なくありません。
まずは直近3か月の実績を棚卸しし、総額のブレ幅で比較してみてください。
まずは“いまの刷り方”を簡易診断
印刷実績(3か月の枚数・カラー比率・利用期間)を共有いただければ、
- 最適プランの初期提案
- 超過・上限の有無を踏まえた総額目安
FAQ
Q1. 結局、1枚単価が安いほうが得ですか?
A. 単価だけでは判断しにくいです。最低利用料/超過単価/カラー判定を含めた月の総額ブレ幅で比べるのが安全です。
Q2. “刷り放題”はどんな会社に向いていますか?
A. 毎月そこそこ〜多い印刷が続き、上限管理のストレスを避けたい現場に相性がいいです。極小ロット中心なら従量のほうが合理的なこともあります。
Q3. カラーを少なく見せる設定で節約できますか?
A. 効果はあります。PC側の既定値をモノクロ/両面にし、必要時だけカラーに切り替える運用がおすすめです。
Q4. 拠点が増えて管理が大変です。何から整えるべき?
A. まず窓口一本化と在庫のしきい値、障害時の一次対応フローを決めましょう。
Q5. 途中でプランを変えても大丈夫?
A. 契約条件次第ですが、2〜3か月連続で上限超過が続くなどシグナルが出たら、早めの見直しが結果的に安くなることが多いです。

