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災害・停電時に印刷業務を止めない BCP⁠チェックリスト

2026.08.04

災害・停電時に印刷業務を止めない
BCPチェックリスト

地震や水害、停電、ネットワーク障害が起きたとき、プリンターが使えなくなると業務全体が止まることがあります。たとえば、納品書、受付票、作業指示書、避難所や現場で使う案内資料などは、データが残っていても紙に出せなければ次の工程へ進めません。

一方で、プリンターをもう1台置くだけでは十分な備えにならない場合があります。電源やネットワークが同じ系統なら、主機と予備機が同時に使えなくなるからです。重要なのは、印刷が止まる前提で、何を、どの順番で、どの機器や場所から出力するかを決めておくことです。

この記事では、企業が印刷業務をBCPに組み込むときの考え方を整理します。防災全体の計画を作る記事ではなく、紙を使う業務に絞って、担当者が自社の弱点を確認できる内容です。

この記事で分かること

印刷業務をBCPで扱う理由、優先順位の決め方、停電・ネットワーク断・機器停止への備え、社内の連絡体制、実際に機能するかを確かめる訓練方法を解説します。

1. 印刷業務をBCPに含めるべき理由

BCPは、災害が起きたときにすべての業務を通常どおり続けるための計画ではありません。重要な業務を選び、許容できる停止時間内に再開できるよう、事前に手順や代替手段を決めるものです。

企業のBCPでは、サーバーや通信回線、従業員の安否確認などが注目されがちです。しかし現場では、紙の帳票がないことで作業を始められないケースがあります。データベースやクラウドが復旧しても、現場へ渡す書類が出力できなければ業務は完了しません。

印刷機を守ることではなく、印刷が必要な業務を止めないことが、印刷BCPの目的です。高性能な機器を導入するだけでなく、代替出力先や手書き対応まで含めて考えます。

「プリンターが動くか」ではなく「業務が進むか」で考える

非常時には、通常使っているプリンターの設定や印刷品質をそのまま再現できないことがあります。そこで、事前に「最低限この情報が紙で伝われば作業を続けられる」という状態を定義します。

  • 納品や出荷に必要な帳票を、簡略版でも出せるか
  • 現場が手書きで代替できる項目と、後から正式帳票へ戻す方法があるか
  • 顧客・取引先へ渡す書類と、社内だけで使う書類を分けているか
  • 復旧後に二重入力や帳票の取り違えが起きないか

2. 最初に決めるべき印刷物の優先順位

印刷BCPを作るとき、すべての資料を非常用に準備しようとすると、管理が続きません。まずは、印刷できないと顧客対応・安全確保・出荷・復旧作業に影響するものを洗い出します。

優先度 印刷物の例 考えること
最優先 避難・連絡用資料、現場の安全指示、緊急連絡票 停電中でも読める形と保管場所を決める
納品書、出荷指示、受付票、作業チェックシート 代替機または手書き様式を用意する
社内連絡、在庫確認、復旧作業の記録 簡易様式で先に運用し、後から正式化する
通常の会議資料、販促資料、急がない社内文書 復旧後に出力する前提で優先順位を下げる

優先順位は部署ごとに決めるのではなく、業務の流れに沿って決めるのがポイントです。たとえば、営業部が必要とする注文書、倉庫が使う出荷指示、経理が保管する証憑が別々に管理されていると、どれを先に出すかで判断が割れます。

3. 印刷が止まる4つのリスクと備え

プリンターが使えない原因は、機器故障だけではありません。印刷BCPでは、原因別に「どこまでなら自社で復旧できるか」「復旧できないときの代替策は何か」を分けておきます。

電源が使えない

停電時は、プリンター本体だけでなく、パソコン、ネットワーク機器、無線アクセスポイントも停止する可能性があります。無停電電源装置を使う場合も、すべての印刷を長時間継続するものではなく、安全にデータを保存し、機器を停止する時間を確保する目的で考えます。

非常用電源の容量を確認し、どの機器を優先して動かすかを決めておきます。小型の予備プリンター、紙の手書き様式、あらかじめ印刷した緊急帳票を組み合わせる方が、1台の大型機器に依存するより現実的な場合があります。

ネットワークや認証が使えない

ネットワーク断では、プリンターが正常でもデータを送れません。また、認証サーバーやファイルサーバーが止まると、通常の印刷操作ができないことがあります。

非常時に限りローカル接続できる機器、USBメモリから出力できる機器、事前に保存したPDFを使う方法などを候補にします。ただし、機密情報を扱う場合は、誰が持ち出し、どこで印刷し、印刷後にどう廃棄するかまで決める必要があります。

建物や設置場所に入れない

地震や水害では、機器が無事でもオフィスへ入れないことがあります。この場合は、同じ場所に予備機を置く意味が薄くなります。別拠点、在宅、取引先、外部の出力サービスなど、場所を分けた代替策を検討します。

複数拠点がある企業では、平常時から重要帳票の様式と保管場所を統一し、別拠点でも出力できる状態を作ると復旧が早くなります。

用紙や消耗品が不足する

災害時には、用紙やインク・トナーの補充が届かない可能性があります。必要量を一律に多く保管するのではなく、最優先の帳票を何日分使うかを基準にします。保管場所が浸水しやすい、棚が倒れやすいといったリスクも確認します。

注意したい考え方

予備機があるだけではBCPになりません。電源・通信・設置場所・用紙が同じ条件なら、主機と一緒に使えなくなる可能性があります。代替策は、原因の異なる手段を組み合わせることが重要です。

4. 非常時に迷わない運用ルール

緊急時に担当者がその場で判断すると、印刷データの重複、帳票の取り違え、機密情報の持ち出しが起きやすくなります。A4一枚程度の「印刷停止時の行動カード」を作り、機器の近くと社内の共有場所に置いておきます。

  1. 停止原因を記録する:停電、通信障害、建物への立ち入り不可、用紙不足など、分かる範囲で記録します。
  2. 最優先の印刷物を確認する:通常業務の順番ではなく、安全確保と顧客・現場への影響で優先順位を決めます。
  3. 代替出力先へ切り替える:予備機、別拠点、手書き様式など、原因に合った手段を選びます。
  4. 発行番号や記録を残す:手書きと復旧後の正式帳票が二重にならないよう、番号や発行者を記録します。
  5. 復旧後に照合する:手書きで対応した内容をシステムや正式帳票へ反映し、未処理を確認します。

担当者名だけを決めるのではなく、担当者が不在のときの代行者も決めます。総務、情報システム、現場責任者、外部業者の連絡先を一覧化し、電話が使えない場合の連絡手段も確認しておきます。

5. 机上訓練とテスト印刷で確認すること

計画書を作っただけでは、実際に使えるか分かりません。大がかりな防災訓練でなくても、30分程度の机上訓練と、定期的なテスト印刷で弱点を見つけられます。

確認項目 質問 合格の目安
初動 印刷停止を誰に連絡するか 担当者不在でも連絡先が分かる
帳票 最優先の帳票は何か 部署をまたいで同じ答えになる
代替 別の場所・機器で出せるか 実際に1枚出力できる
復旧 手書き分をどう照合するか 記録の保管場所と担当が明確

テスト印刷では、普段使うデータだけでなく、非常用に用意した簡易帳票も確認します。PDFの保存場所、ファイル名、給紙方法、片面・両面の指定、モノクロで読めるかを見ておくと、緊急時の手戻りを減らせます。

訓練で問題が見つかったら、計画を責めるのではなく、次の訓練で直す項目を一つか二つに絞ります。担当者が変わったとき、機器を入れ替えたとき、拠点やネットワーク構成を変えたときは、印刷BCPも更新します。

6. 外部サービス・レンタルをBCPに組み込む確認項目

プリンターをレンタルするか購入するかは、料金だけでなく、停止時にどこまで復旧を支援してもらえるかで比較します。特に非常時は、通常の修理受付だけでは解決できないため、契約前に対応範囲を確認します。

  • 故障時の連絡窓口と受付時間
  • 代替機の有無、交換までの目安、配送・設置の条件
  • 停電・水害・地震など、災害時の対応範囲
  • 別拠点への追加設置や短期利用に対応できるか
  • 用紙やインク・トナーの補充方法、在庫の責任分界
  • ネットワーク設定やセキュリティ上の制約を確認できるか

大切なのは「災害でも必ず即日復旧する」と期待することではありません。自社でできる一次対応と、外部業者へ依頼する復旧対応を分け、復旧までの間にどの帳票をどの手段で出すかを決めることです。

中小企業庁は、中小企業が取り組みやすいBCPとして「事業継続力強化計画」を案内しています。印刷業務を含める場合も、まずは重要業務、停止時の影響、代替手段、復旧担当を整理すると、計画へ落とし込みやすくなります。制度の最新情報や申請要件は、中小企業庁の公式情報をご確認ください。

7. まとめ

印刷BCPで考えるべきなのは、プリンターを故障させないことだけではありません。災害、停電、通信断、立ち入り制限、消耗品不足が起きても、重要な業務をどの方法で続けるかを決めておくことが重要です。

まずは印刷物を優先順位で分け、最優先の帳票について、代替機・別拠点・手書き様式・事前印刷のどれを使うか決めます。そのうえで、連絡先、発行番号、復旧後の照合方法を一枚の行動カードにまとめ、定期的にテストします。

現在のプリンター環境が、災害時にも重要業務を支えられる構成になっているか確認したい企業様は、使用機器、拠点数、重要帳票、想定する停止時間をお知らせください。通常時の印刷だけでなく、非常時の代替運用も含めてご案内します。

印刷業務のBCPや、予備機・短期レンタルを含めた運用について、ぜひ下記のお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。